羊の家

迷えるヒツジとクマの家づくり 30代夫婦が建築家と工務店と三者四脚で走る備忘録

地「震」を制するのではなく「振」動を制する

制震の話の続きです。もうこんな長い記事は書かないことを誓います。  
 

工務店さんが満を持しておススメする制振装置とは何ぞや?

(前回制震装置と表記しましたが、今回は制振装置で統一します。メーカーによって違いますが、意味は同じです。)
 
 
それはこちら。
CHIHIRO×BILSTEINのコラボレーションで生まれた油圧式制振装置
SSダンパー「evoltz(エヴォルツ)」です。
ちょっとeneloopっぽいと思うのは私だけですか。

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木造住宅向け制振ダンパー・制振装置evoltz(エヴォルツ )|千博産業株式会社|耐震+制振|

静岡と言えば日本屈指の防災意識の高さを誇る地域。
その静岡で2008年から制振ダンパーの開発に取り組んでいる千博産業さんが、自動車のショックアブソーバーのトップメーカーである、ドイツのBILSTEINビルシュタイン)社と技術提携して生まれた商品です。
2015年から販売開始されました。
 
BILSTEIN社は私は存じ上げませんでしたが、車好きの間では非常に有名な会社のようですね。
ベンツやBMWに古くから使われて来た製品らしいです。
 
 
 
また疑問に思ったことをばーっと調べてみました。
 
 

ショックアブソーバーって?

ショックアブソーバーはサスペンション(路面からの衝撃や振動を吸収して車体を安定させる装置:スプリング、ダンパー、アームから成る)を構成するパーツの一つです。
スプリングだけでは、一度揺れ始めてしまうとずっと揺れ続けるという現象が起きるので、その揺れを止めるためにスプリングの動きを制限する働きをするのがダンパー(ショックアブソーバー)というわけです。  
傾いた車体がスプリングの力で元に戻ろうとする時に、一気に戻ってこないよう緩やかにする働きもあります。こういう衝撃を受け止める力を減衰力と言います。
 
なるほど、見えてきました。
 

減衰力の特性

リニア特性:揺れの大きさに比例して減衰力が増加する
プログレッシブ特性:揺れが大きくなると減衰力が尻上がりに増加する
【デメリット】
・揺れが小さい場合はほとんど減衰力を発生しない
・大きな揺れとともに建物の構造体が破損しはじめる
・過剰な力が発生して躯体にダメージを与えかねない
 
バイリニア特性:揺れの大小に関わらず適切な減衰力を発揮し、しかも建物の破損を防ぐことができる。つまり、長周期型地震や大地震後の余震の際にも有効な力を発揮できる。

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https://www.evoltz.com/bilinear/

千博産業さんはこのバイリニア特性を有した油圧ダンパー(ショックアブソーバー)を木造住宅の制振装置に応用する技術の特許を取得しています。
 

限界耐力計算

千博産業さん側で、1棟1棟に限界耐力計算を実施し、地震の際に生じる衝撃を40%〜50%程度軽減できるようevoltzの配置を割り出してくれます。
 
私たちが、構造計算においてもっとも知りたかったのが、偏心率です。
限界耐力計算で、その数値がどれだけ改善されたかが分かるそうです。
 
限界耐力計算は耐力だけでなく変形も確かめるのが特徴です。
問題ありと指摘する人あり、詳しい計算が可能になるために安全率は低くなる、とかちょっと何言っているのか分からない点もあるのですが、話が難し過ぎて素人の限界を感じました。
 

偏心率とは

一言で言うと、建物のねじれやすさです。
建物の「重心」に地震力が作用した時、建物は「剛心」を中心として回転するため、重心と剛心の間の距離は近ければ近いほど良いとされます。
 
重心:建物平面形状の中心、建物荷重の中心
剛心:水平力(横に揺らす力)に対抗する力の中心
 
その一方で、偏心距離が大きくても、回転に対する抵抗力が備わっていれば建物は回転しないともされています。
抵抗力は目に見えないので、計算してみるまで分からないんですね。
果たして限界耐力計算でどれほど正確な数値が出せるんでしょうか。
 
現行の建築基準法では偏心率は0.3以下と定められていますが、実際は0.15以下を推奨されています。
 

その他の制振(震)装置

住友ゴム MIRAIE【ミライエ】http://miraie.srigroup.co.jp
アイ・エム・エー GVA【ジーバ】http://www.gva-tomo.com
積水ハウス SHEQAS【シーカス】
http://www.sekisuihouse.com/technology/safety/sheqas/
ミサワホーム MGEO【エムジオ】(住友ゴム提携)
https://www.misawa.co.jp/kodate/seinou/mokusitu/saigai/mgeo.html
 
代表的なのはこのあたりでしょうか。
大体エネルギー吸収体として高減衰ゴムを使用しています。GVAだけアクリル樹脂(VEM)です。
 
これら大型の制振(震)装置は壁を利用して設置されるので、間取りに制限が出てくる可能性はあります。
柱に取り付けられるevoltzの設置はお手軽であると言えるでしょうね。
 

コスト

延床40坪で、前回の耐震認定の申請と構造計算を合わせた額とほぼ同じくらいです。
同じくらいかかるのであれば、耐力計算+装置の方がお得かなと思います。 ただ、限界耐力計算と構造計算についてはもう少し調べた方がよさそうです。
 

制震だけではやっぱりダメ

あくまでも制震は、耐震の足りない部分をカバーするものと考えます。
揺れを低減してくれるとは言っても、建物にそもそも耐える力が無いと意味がありません。
なので耐震+制震が、住宅における現時点での最適解、だと言えるのではないでしょうか。
 
 


 
工務店さんに「家で検討してきます。」と答えたものの、ほぼ採用決定かなあ、と個人的には思っています。 質問はいくつか投げてきました。
→20年保証の意味、実際どれくらいの地震力に耐えられるか、耐力計算の結果は見せてもらえるのか、など。

必要とあらば、メーカーの方を呼んで説明の場を設けてくださるそうですが、私たちの為だけに来ていただくのは少々申し訳ない気がします。
工務店主催で、お施主さん向けの勉強会イベントとか行ったらどうかな?と思いました。
 
 
 
最後に余談。

パンフを見ながらハムさんが「やっぱりドイツ製なんだねー」と感心していました。
家づくり中、ドイツ製品がたびたび登場し、ハムさんの頭には「ドイツ製品=優秀」と刷り込まれているようです。
例:ガゲナウ、ミーレ、ハーフェレ、ヘティヒ、オスモ、リボスなど
 
 
 
 
 

 
   
今日は以上です。

 
 
 
 
 
 
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( ・(エ)・) 出たドイツ
@ ´ エ`) ドイツの科学力は世界一ィィィィ!